オレンジ色の奇跡
ビンの蓋を閉めてお湯を入れようと思ったら、
「き、今日、先輩のお家に泊まってもいいですか?」
危うくマグカップを落としそうになった。
本気で言ってんのか?コイツは。
だいたい、俺ん家に来ること自体初めてだろ。
「あ、ダメならいいんですけど。
朔兄が、未和さんと家(ここ)に来るって言ってたから邪魔かなって……」
あ、そういうことか。
確かに、妹がいたら、な。
「別に、舞希が良いなら大歓迎だけど?」
「ホントに?」
「あぁ。俺ん家でクリスマスパーティーでもするか」
「うん!」
弾けるような笑顔を向けて俺に抱きつく舞希の頭をポンポンと撫でる。
「ホント、クリスマスってどこ行ってもカップルがイチャイチャしてるよな」
「あ、こんにちは。晴樹さん」
「え?は、晴兄?」
舞希は、俺の背中に回していた手をするりと抜き、ソファーに向かう晴樹さんの背中を見る。