オレンジ色の奇跡


 俺から身体を離し、晴樹さんのマグカップを掴みインスタントコーヒーを入れた。

「冬休みに入ったと思ったら仲がよろしいようで」

「羨ましいでしょ?はい、コーヒー」

「さんきゅ。別にー。サクは?」

「未和さんとこかな?」

「で、じゃんけんはどっちが勝った?」

「朔兄だよ。だから、今日岩佐先輩ん家行くんだぁ」

 なんだよ。じゃんけんで決めたのかよ、この兄妹は。

「晴樹さん、舞希お預かりします」

「じゃあ、俺は大輔のとこにでも行くかな」

 晴樹さんは、舞希がいれたコーヒーを飲みながら携帯を開いた。

「先輩って一人暮らし?」

「あぁ」

「料理器具ありますか?」

「一通りはあるよ」

「料理するんですか?」

「簡単なものはな」

「へぇー」

「しなそう、とか思ってんじゃねぇよ」

「あはは。分かりました?」

「分かりやすいからな」

「じゃあ、ケーキが作り終わったらスーパー行きましょ」

「あぁ」

 楽しそうに鼻歌混じりにケーキを作る。


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