オレンジ色の奇跡
「あー! 祥也おめえの所為でかゆいんだよ! 家でやれ!家で!」
わき腹をボリボリ掻く岩佐先輩は、空いてる手でしっしっと神崎先輩を払うような仕草をした。
「岩佐先輩。あたしもさっきからくすぐったくて、くすぐったくて。 なんか、ひっぱたきたくなります」
「そうだな。祥也、これ以上したら相川と一緒にお前を殴る」
なっ殴るっ?!
「あたし殴るなんてっ!」
「いいんだよ。コイツなんかいくら殴っても減らねぇから」
減るとか減らないとかそういう問題じゃ……。っていうか、確実に骨があれしちゃったり、青くなったりするじゃないですか!!
「おっおい! 啓輔! 良くないだろっ! 俺だってな、殴られたら減るんだぞ!!」
「相川、ちょっと手伝ってくれ」
わっ! 見事にスルー!! キレイにシカトしたなあ。 ……え?て、手伝い?
「手伝いですか? あたしに出来るなら」
じゃあ、ちょっと来てくれ、となんだか喚いている神崎先輩を再び無視した岩佐先輩の背中についていった。