オレンジ色の奇跡
「だーかーら!あからさまに『分かんねぇ』って顔すん」
「ごめんなさいっ!だって、分からないから……」
「はぁー。だから、な?俺と舞希が話すとき、舞希は敬語だろ?」
「は、い?」
「でも、舞希と井上が話すときはタメ語だろ?」
「……だから?」
「分かんねぇのかよ………」
「だって、先輩じゃないですか。井上くんは、同い年だし……。普通、ですよね?」
「はぁー。俺と舞希は先輩後輩だけどさ、付き合ってるだろーが」
「そうですね」
何かおかしいですかね?
岩佐先輩、唖然としてるんですけど!
っていうか、年上の人に敬語使うのは常識でしょ?(タケちゃん、ユウにぃ、モヤシは年上だけど、強制的に敬語禁止になったの!)
「…舞希って天然だったっけ?」
「て、天然?!全然違いますよ!!優衣じゃないんだから!」
「ははっ。そうだな。まぁ、とりあえず、敬語使うなよ?」
「……え?む、無理です!無理、無理!」
「だから、な?俺は、お前と井上が普通に話してんの見て、嫉妬してんだよ!」
「……え」
「いくら、俺と舞希が付き合っていようが、敬語使われるとキョリ感じるんだよ!!」
一気に怒鳴るように言い切った岩佐先輩は「ごめん」と、ひとこと呟いて、紅茶をひとくち飲んだ。