オレンジ色の奇跡


「先輩が卒業して、あたしが敬語じゃなくなったら………『けいちゃん』って呼んでいいですか?」

「………は?」

「だって、タケちゃんとユウにぃ、モヤシも『けいちゃん』って呼んでたじゃないですか!」

「いや、だから!や、ヤ」
「はい!決定ーっ!!」

 ヤダ、と断ろうとする岩佐先輩を遮り、勝手に決定。

 その顔。
 呆れてますね。

 気にしない、気にしない。

 とりあえず、岩佐先輩の脚の間から移動し、隣に座る。

 朝みたいに、正座して。

「先輩……?」

「ん?」

 一瞬、こちらを見ると、向かい合うように胡坐をかく。

 頭を掻いているあたり、照れてる?

「教えて下さい。先輩のこと」

「何から?」

「えっーと……。あっ、進学のことは?」

「あぁ、な。大学に進学する。
っつっても、大した学校じゃねぇし?何か分かんねぇけど、自薦で受かっちまった」

「自薦で?」

「うん、そう。祥也と同じとこで、な。
アイツは、学校推薦っていうか、大学から推薦来てたみたいだけど。
とりあえず、自薦で受けて落ちたら、まぁいいかって考えてたら、受かった」

「何か、すごい……」

 大学って、そんなにすんなり受かっちゃうもの?!

 っていうか、受かっちまった、って……。


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