オレンジ色の奇跡


「り・み・が!言ってたんです!!」

「ふーん。まぁいいか」

 良いんですかっ!!

 岩佐先輩が、良いって言うならいいですけど。

 正座から脚を解放し、冷めた紅茶を一気に飲み干す。

 膝から足首にかけて、我先にと血液が急ぐのが分かる。

 途端、しびれがやってきた。

 結構長い間、正座してたからヤバいな……。
 でも、あったかい紅茶飲みたいし?

 ゆっくりと、立ち上がってみるものの、すぐ、ソファーへと直る。

「何やってんだよ」

「く、屈伸?」

「しびれたんだろ?何、紅茶か?」

「あ、はい……」

「俺がやるから座っとけ」

「すみません。ありがとうございます」

 岩佐先輩の言葉に甘えて、ソファーに座ったままのあたし。

 ふと、窓の外へ視線を遣れば、もっさもっさと雪が降っている。

 二足歩行を諦めたあたしは、四足歩行で窓まで進む。

「おい、犬。紅茶、飲まねぇの?」

「飲みますっ」

 ちょこん、と窓脇に座りながら、片手を伸ばし、岩佐先輩に紅茶を催促する。

 自分の紅茶に口を付けながら、あたしにマグカップを渡した。


< 304 / 438 >

この作品をシェア

pagetop