オレンジ色の奇跡
「り・み・が!言ってたんです!!」
「ふーん。まぁいいか」
良いんですかっ!!
岩佐先輩が、良いって言うならいいですけど。
正座から脚を解放し、冷めた紅茶を一気に飲み干す。
膝から足首にかけて、我先にと血液が急ぐのが分かる。
途端、しびれがやってきた。
結構長い間、正座してたからヤバいな……。
でも、あったかい紅茶飲みたいし?
ゆっくりと、立ち上がってみるものの、すぐ、ソファーへと直る。
「何やってんだよ」
「く、屈伸?」
「しびれたんだろ?何、紅茶か?」
「あ、はい……」
「俺がやるから座っとけ」
「すみません。ありがとうございます」
岩佐先輩の言葉に甘えて、ソファーに座ったままのあたし。
ふと、窓の外へ視線を遣れば、もっさもっさと雪が降っている。
二足歩行を諦めたあたしは、四足歩行で窓まで進む。
「おい、犬。紅茶、飲まねぇの?」
「飲みますっ」
ちょこん、と窓脇に座りながら、片手を伸ばし、岩佐先輩に紅茶を催促する。
自分の紅茶に口を付けながら、あたしにマグカップを渡した。