オレンジ色の奇跡
「うわっ。雪、すげーな」
「あーあ。積もると、梨海の逆鱗に触れるぞ!」
今日、電話くるかな?
1時間くらい。
雪に対しての恨み聞かされるな。こりゃあ。
「……今日も泊まる、か?」
「……えっ?!」
泊まる、って……。
やっぱりしますよ、ね?
…………ん?
「あっ!!」
「何だよ」
「付けたでしょーっ?!!」
「何をだよ。うっせーな」
「と、とぼけるんですか?きっ…」
「き?」
「…スマーク」
「あん?」
「もう、いいっ!!」
分かってて、ソーユーコト言うんですか?
言うんですね!?
機嫌が悪くなった猫の様に、岩佐先輩に背を向ける。
「はぁー」
何よ!
岩佐先輩が悪いんじゃないですかっ!!
こんなトコロに、キスマークなんて……。
突然。
上から手が降ってきたと思ったら、両手で包んで持っていたマグカップを取り上げられた。
コト、とマグカップがテーブルに置かれる音と、ほぼ、同時に。
ふわり、と後ろから抱きしめられる。