オレンジ色の奇跡
「兄貴が、喚きやがった」
「えっ?」
「気にすんな」
「気にします!!まだ、玄関前にいますよね?」
「さぁな」
しびれた脚を確かめながらゆっくりと立ち上がり、これまたゆっくりと玄関に向かう。
鍵を開け、静かにドアを開くと、大輔さんが壁に寄りかかって座っていた。
「……だ、大輔さん?」
「あれ?舞希ちゃんだ」
「大丈夫ですか?中、入ります?」
「入っていいの?」
「外、寒いですし」
「ありがとう」
ドアを押さえているあたしの横を通りすぎる大輔さん。
この前は、爽やかで元気はつらつの印象だったのに、なんだか今日は、萎れた朝顔みたい。
そんなちっちゃくなった大輔さんの背中を見ながら、岩佐先輩のもとへと向かう。