オレンジ色の奇跡


 プシュッと、缶チューハイの蓋を開けぐびぐびと呑む。

「兄貴、酒弱いんだから、ほどほどにしろよ」

「だってさー。晴樹が悪いんだよ」

「は?」

「僕の部屋でタバコは吸っちゃうし?部屋ぐちゃぐちゃにしちゃうし?」

 あはははは。
 晴兄、テンション上がってるな。

「それで、お家出てきちゃったんですか?」

「うん!そーなの!」

「すみません。晴兄が迷惑かけて」

「いーの!いーの!舞希ちゃんは悪くないんだから!」

「うっせーな。声がでけぇんだよ」

 呆れている岩佐先輩は、一発大輔さんを叩き、携帯を取り出した。

「あ、もしもし。啓輔です。はい、いますよ。……分かりました」

 電話を終えた岩佐先輩は、はぁー、とため息をつく。

 ポン、とあたしの頭に手を置き「ごめん」と、呟いた。

「大丈夫ですよ。あたし、大輔さん好きですから」

「それもそれでイヤだ」

 ご機嫌の様子で缶チューハイを呑む大輔さんを見ながら、再びため息をつくと、本日、二度目のチャイム音。


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