オレンジ色の奇跡


 それより、あたしの背中にピッタリくっつく大輔さんをどうにかして下さい!!

 そんなあたしの気持ちに気付いてくれたのか、岩佐先輩がゆっくりとあたしに近づく。

 ポケットに手をかけたまま、左足をあげる。

 ……左足をあげる?

 曲げた足を一気に伸ばし、大輔さんを蹴った。

「う"え!?」

 潰れた様な、なんか胃から出てきちゃいそうな呻き声を上げて倒れる。

「引っ付いてんじゃねぇよ。クソ兄貴」

 バシバシとあたしの背中を叩く様に、大輔さんがくっついていたところを払う。

 い、痛いですって。

「まぁ、いいや。こんなヤツ。
啓輔。大輔、置いてってやるから舞希返せ」

「置いてもらっても困ります」

「でも、舞希は返してもらわなきゃ困る」

「あ、あのね、晴兄?今日も、泊まろうかなって思ってたんだけど……」

 恐る恐る、ゆっくりと口開きながら晴兄の様子を伺う。

 手招きしてあたしを呼び寄せる。

 素直に、キッチン近くに立つ晴兄に近寄ると、首元の髪の毛を払った。


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