オレンジ色の奇跡
「あー、やっぱり。舞希、啓輔に食われたろ?」
「え?!あ、いや……」
「今日も泊まっても、別に俺は良いんだけどさ。問題は、サクだろ」
「朔兄…?」
「今回は、未和ちゃんいて平気だったけど、な。アイツ、軽度のシスコンだから」
シスコン?!
朔兄がっ?!!
「朔真さん、俺を舞希の部屋に閉じ込めたり色々しましたけど?」
「あれは、ただ単純に啓輔を苦しめたかっただけだろ?あん時、襲ってたら、半殺しじゃ済まなかったな」
「はぁー」
「ってことだ。舞希、帰るぞ」
「あ、うん……」
しょうがないか……。
泊まったら岩佐先輩が、朔兄にボコボコにされちゃうもんね。
今日泊まることを諦め、荷物をまとめるため寝室に向かった。
そんなに荷物もなく、すぐ、まとまり、ダイニングに戻る。
「先輩、ありがとうございました」
「あぁ。後で、連絡するから」
「はい!」
「じゃあな、啓輔」
「はい。じゃ、また」
ゆっくり閉まるドアを見つめた後、歩きだした晴兄の背中を追った。