オレンジ色の奇跡


「今、野菜炒めしかできないけどいい?」

「いいよ」

「うぇ…」

「お昼は我慢して!夕飯は買い物して、ちゃんと作るからっ」

「じゃあ、インスタントラーメンに野菜炒め乗っけて」

「分かった。朔兄は?」

「ご飯と野菜炒めでいいよ」

「はぁーい!」

 ピカピカになったキッチンで料理って結構良いかも、なんて考えながらキャベツやウィンナー、ピーマン、人参を切ってフライパンに入れる。

 っていうか、あたし何食べよう。

 はぁー、まぁいいかな。
 買い物行って買い食いすれば。

 あっ…!
 岩佐先輩のバイト先に行ってみようかな?

 …………迷惑だよねぇ。

 もしかしたら、今日いないかもしれないし。

 出来上がった野菜炒めの3分の2を平らなお皿にのせ、残りを、インスタントラーメンにのせる。

 おぼんにそれらを乗せ、ダイニングのテーブルに置いた。

「はい。どうぞ」

「ありがとう」

「サンキュ」

「じゃあ、あたしは買い物行って来るね」

 後ろで結んであるエプロンの紐を解く。

 ついでに、髪の毛もおろす。

「雨、降ってたよ」

「ウソ〜!」

「気を付けろよ」

「うんっ」

 手櫛で髪の毛を整えながら、リビングを後にした。


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