オレンジ色の奇跡
「相川どれがいい?」
それは、もう唐突に。っていうか、どれって……何?
「えっ?」
たぶん、ものすごくすっとんきょうな顔をしてるんだと思うの、あたし。だって、声がすっとんきょうみたいな。
「コレだよ、コレ。 俺の奢りだから好きなの選べよ」
岩佐先輩は親指で自分の後ろを差した。ちょっと動いて覗いてみると、そこには自販機が列をなしている。
へー。こんなとこにも自販機なんてあったんだー。って、ん?
「へっ? 手伝いは?」
そうだよ! 手伝ってくれっていうから付いてきたんだよ!
「5人分買って持っていくことだけど?」
……ジュースを買うだけ?! 一人でも出来るじゃんっ!!
まあ、5人分のジュースを持つのは大変だろうけど、温かいのを買うわけじゃないし……。
「そんなに驚くなよ。本当の目的は、さっき話したやつ」
何、それ。だったら――
「――始めっから言えばいいのに」
「相川、聞こえてるけど?」
「えっ!!」
がばっと両手で口元を押さえる。それを見た岩佐先輩がげらげら笑うのなんて、分かり切ったこと。