オレンジ色の奇跡


「あ、岩佐先輩」

「ん?」

「あたし、まだお昼食べてないんですけど、おすすめのお店とかありすか?」

「え?あ…、ココ出たところに新しくパン屋が出来たって聞いたな」

「そうなんですか?行ってみますね」

「…俺も行く」

 あたしの後ろに並ぶ岩佐先輩はそう呟き、あたしの頭をポンポンと撫でた。

 ちょっとでも、一緒にいたいってことなのかな?

 そうだとしたら。

 もう。嬉しくて、嬉しくて。
 今なら、トリプルアクセルくらいできちゃいそう。

 のほほんとした雰囲気に浸っていると、いつの間にかお会計が済んでいた。

 カゴを近くの白い台に乗せ、袋に詰める。
 今回は、歩きということもあって一袋。

 これからパン屋さん行くんだよね?

 メロンパン、食べたいなぁ…。

 あ、でも。
 チョココロネ、も捨てがたい!

 うーん……。

 岩佐先輩の会計が終わるのを待っている間に、どんなパンがあるか、何のパンを食べようか、と想像を膨らませる。


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