オレンジ色の奇跡
「舞希と寛子さん、カズさんってどういう関係…」
「和広はね。小学生の頃から18まで、相川家で育ったの」
「あっ……。え?じゃあ、何で知らないんですか?」
「和広が言うなって……」
何のこと?
あたしが知らないカズくんのこと……。
知らぬ間に不安は募り、その一方で怒りも込み上げてくる。
あたしが知らないことを、わざわざあたしを挟んで話さなくたっていいじゃない!とか。
そんなに、あたしを蚊帳の外に追いやりたいの?とか。
「寛子ちゃん、意味分かんないよ?」
「あ、ごめんね?」
「カズくんと別れてないんだよね?じゃあ、何?それ以上って何?」
不安で不安で仕方ない。
あんなに近くにいたカズくんが。
あんなに仲良かったカズくんが。
ヨーロッパとかに留学しちゃったとか?
それとも………。
「3年前に、和広は死んだの」