オレンジ色の奇跡


「舞希と寛子さん、カズさんってどういう関係…」

「和広はね。小学生の頃から18まで、相川家で育ったの」

「あっ……。え?じゃあ、何で知らないんですか?」

「和広が言うなって……」

 何のこと?
 あたしが知らないカズくんのこと……。

 知らぬ間に不安は募り、その一方で怒りも込み上げてくる。

 あたしが知らないことを、わざわざあたしを挟んで話さなくたっていいじゃない!とか。

 そんなに、あたしを蚊帳の外に追いやりたいの?とか。

「寛子ちゃん、意味分かんないよ?」

「あ、ごめんね?」

「カズくんと別れてないんだよね?じゃあ、何?それ以上って何?」

 不安で不安で仕方ない。

 あんなに近くにいたカズくんが。
 あんなに仲良かったカズくんが。

 ヨーロッパとかに留学しちゃったとか?

 それとも………。

「3年前に、和広は死んだの」



< 328 / 438 >

この作品をシェア

pagetop