オレンジ色の奇跡



 雨が降る外に飛び込もうか躊躇ったが、傘を差しながら走るのは大変だ、という結論に至り走りだそうとした、が。

「おい!舞希っ!」

 ぐわん、と視界が反転し岩佐先輩の胸の中に納まった。

「落ち着けっ!」

「だって…!」

「こんな雨んなかどうするんだよ!」

 信じたくないんだもん……。

 カズくんが、死んじゃったなんて……。

「ゆっくり考えながら家に行けばいいだろ?俺も付いていくから、な?」

「……う、ん」

 岩佐先輩に身体の片側を支えてもらい、歩きだした。






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