オレンジ色の奇跡


 俺と晴樹、和広が家に帰る途中。

 俺と晴樹の名前が呼ばれ振り返ると、見覚えのある顔が三つ。

 直感でいやな予感がして、和広は家に帰らせよう思ったんだ。

 アイツは、喧嘩をしらないから。

 無理やり家に帰らせたのに……。

 俺と晴樹は、飛んでくる拳を避けて、でも、殴らなかった。

 俺が、避けるのに必死で気付かなかったのが悪かったかもしれない。

 家に帰らせたはずの和広が、俺の名前を叫びながら、飛んできたんだ。

 最初は何が起きたか分からなかった。

 和広は、俺に抱きついたままピクリともしない。

 その時、和広の背中からひとりの男が、血の付いた包丁を持って後退りしたんだ。

 ゆっくり和広の力が弱まるのを感じた俺は、すぐに和広を支えて、静かに地面に座った。

 背中に回した手を見れば、真っ赤に染まっている。

 和広は、苦しそうに顔を歪めて、

『サ…ク、無事?』

 って、呟いたんだ。

 自分は刺されて、血が出てんのに俺の心配なんてしたんだ。アイツは。

 すぐ救急車を呼んで運んでもらったのに。

 ……出血多量のショック死。

 間に合わなかった。

 和広が死んだのは、俺の所為だよ……。



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