オレンジ色の奇跡
お兄ちゃんの友達なんて真っ赤の髪の毛だったり、ピアスをたくさんつけてたり。 そんな見た目が派手でいかつい人ばっかだけど、みんな本当は優しいって知ってる。
見た目だけでその人の内面まで分からない。 これに似たようなこと、お兄ちゃんしょっちゅう言ってたなあ。
「……やっぱりお前は妹なんだな」
そう言ったきり、岩佐先輩は黙ってあたしを見てる。
すっごく見られてるあたしは、声をかけようかどうか、のコスモスかなんかの花びら占いで。
「岩佐先輩?」
声をかけることになった。 けど。
「……」
えー、なんで無視? がっつり目が合ってるのに? なんか悪いこと言ったっけ?
「あの。 ……いっ岩佐先輩?」
「はっ!わっわりぃ。 ほらよ、これ持て」
我に帰った岩佐先輩は、抱えていたジュースのうち一本をあたしに手渡しながら、少しぎこちなく微笑んだ。
ぎこちなく笑う岩佐先輩が、なんだか可愛くて、あたしも釣られて笑う。
「半分持ちます」
「気にすんな。 戻るぞ?」
「はい!」
ふっと小さく笑った岩佐先輩は、教室までの帰り、歩幅をあたしに合わせて並んで歩いてくれた。