オレンジ色の奇跡


 相変わらずの雨模様。

 傘を差す気にもなれず、暗いどしゃ降りの中とぼとぼと歩く。

 自分では、家路に着いていると思ったが、気づいたら祥也の家のインターホンを押していた。

『え?啓輔?』

「……しょう……や」

『どうしたんだよ』

「……舞希が、舞希がぁ…」

『おい!?啓輔?!』

「……俺の所為だ。俺が……っ」

『ちょっと待て。今開けるから』

 びしょ濡れの俺に驚きながらも、バスタオルを渡し中に入るように促す祥也。

 奥の部屋から着替えを持ってきて「これに着替えて」と、ソファーの上に置く。

 言われた通り、祥也の服に着替えると、マグカップを2つ持った祥也が俺の隣に座り、1つを俺に突き渡した。

「何があった?舞希ちゃんがどうしたのさ?」

「…………」

「俺、超能力使えないんだからね?」

「……階段から落ちた」

「え?」

「朔真さん達と色々あって、家を飛び出したんだ。それで、俺が追い掛けた。
公園の入り口の近くに階段があるだろ?そこの階段で舞希を見つけて呼んだら……」

「……落ちた、の?」

「あぁ。俺が呼んだことに気付いた舞希は振り返り、足を滑らせた」

「……舞希ちゃんは?」

「今病院。意識不明の重体で今夜が峠だ」

 俺はどうすればいいんだ?

 ………すべて俺の所為。


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