オレンジ色の奇跡
不安からなのかスッと眠りに落ちたと思ったら、連打のインターホンが鳴り響いた。
重い頭を動かして時計を見ると、午後9時。
だいたい、二時間くらい寝たらしい。
女の声が響くリビングに入ると、真っ赤な目をした七瀬と椎葉が祥也に詰め寄っている。
「……祥也?」
「あっ…」
俺に気付いた七瀬は、目を見開きこちらに向かってくる。
「何で今ココに岩佐先輩がいるの?!何で舞希の傍にいてあげないのよ?!」
「梨海ちゃっ……」
「どうして?どうしてまた、意識不明にならなくちゃいけないの?!」
膝から崩れ落ちる七瀬の肩を抱きながら椎葉も泣き崩れる。
「……悪い。俺の所為なんだ」
「舞希に…舞希に何したのよっ!!?」
祥也に話したことを二人に話し、頭を下げた。
舞希だけでなく、七瀬や椎葉までも傷つけて……。
それでいて俺は、祥也の家で呑気に寝てた。
「何でそう重なるの?そんな一気に試練を与えなくたって………。舞希ちゃんを苦しめなくたって……っ」
「………優衣」
泣きすぎて声が出なくなっている優衣を優しく抱きしめる祥也が、視界の片隅に入った。