オレンジ色の奇跡


◆……


 何だかふわふわする。

 周りが真っ白で柔らかくて……。

 何かに吸い込まれるように視界が広がった。

「…お父さん?お母さ…ん?」

「……っ!母さんっ。舞希が起きたぞ!先生を呼んでくる!」

「舞希…舞希……っ。良かった、良かったっ」

 あれ?
 あたし、どうしたの?

 この風景、見たことあるよ?

 夢、なの?

 お父さんが急いで病室から出ていくのと入れ違いに、梨海と優衣が入ってきた。

「舞希ぃーっ!」

「舞希ちゃ…ん!!」

 お母さんとは反対側のベッドの端にくっつくようにあたしを見つめる。

 ここって、ビョウイン?

 そういえば、なんとなく消毒の匂いと、真っ白な部屋。

 ちょっと頭を動かせば、一定の速度を保った点滴が吊されている。


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