オレンジ色の奇跡
「…ご心配をおかけしました」
「でも…。舞希ちゃん、今回覚えてるね」
「……え?」
“今回は覚えてる”?
今回ってなに?
前回もあったの?
「あ…ほら、良く言うじゃない!言葉の末?って!」
言葉の末って………。
ちょっとしたことなわけ?!
「何それ……。あたしのこと、からかってるでしょーっ?!」
太もも辺りの布団をボスボス叩く。
ホント、1週間近く意識不明だった友達に対する態度?!
でも………。
ごめんね?
あたしのためにたくさん泣いてくれて、目を真っ赤にさせちゃって。
ホント、ごめ………っ!?
スパーンッ!!と、乾いた音と共に開かれたドア。
何が起きたのか分からず、呼吸をするのも忘れてドアの先を見つめる。
ひょこり、と。
まるでイタズラがバレてしまった子供の様に、神崎先輩が顔を覗かせた。