オレンジ色の奇跡


 ほとんど完成しているパズルがあるとしたら、その未完成な部分にピッタリと見付かった残りのピースがハマる感じ。

 そう。
 今までなかったピースがいきなり現れた。

 ないない、と探していたはずのピースがいきなり現れて戸惑っている。

 “戸惑う”より“怖い”んだ。

 だめ……。
 来ないで………。

 俯いたままゆっくりと申し訳なさそうに寄ってくる。

 その金色の髪の毛から、目を逸らそうとしてもうまくいかなくて。

 お互いが手を伸ばせば届いてしまいそうな距離で、あたしの頭の中が悲鳴を上げた。

「…イヤ!!来ないで…。来ないでぇ!!」

「舞希?!どうしたの?!」

「ごめんなさい…。ごめんなさ…い」

「舞希!!落ち着いて!!」

「イヤァァー!!」

 叫ぶと同時に、何回も名前を呼ばれた気がした。




< 348 / 438 >

この作品をシェア

pagetop