オレンジ色の奇跡
もう、不安で不安で堪らない。
お兄ちゃん達には長い間我慢させちゃったし、岩佐先輩には無意識だとしても拒絶してしまったことは事実。
溢れる涙は、自分自身に悔いている証。
「ホント、舞希っていつから親友の前では泣かなくて、男の前ではなくような薄情な子になったのよ」
「薄情って……ヒドイ」
「でも、三人でこんなに泣くなんて久しぶりだね」
「嬉しくないわねぇ」
「ごめん、ごめん」
「あははっ」
まだ、不安は残るけどあたしにはこの二人がいてくれる。
それだけでも、あたしは真っ直ぐ立っていられるんだ。
三人して目を真っ赤にして、泣いて、笑って、怒って……。
少しの時間だけ不安から逃れることができたんだ。