オレンジ色の奇跡
「舞希ちゃんが悪いわけじゃない。全て、仕方がなかったの」
「そんな、偶然だなんて……」
偶然だなんて思いたくない、と口を動かそうとした時、寛子ちゃんが「はい。コレ」と言って、赤と青のラインで縁取られた封筒を取り出した。
……エアメール。
宛先には、あたしがアメリカの時に住んでいた住所にあたしの名前。
この筆跡は、………カズくんのもの。
「コレは?」
「和広から舞希ちゃんへの最後の手紙」
「……え?」
「先に謝っとくね?ごめんなさい。
私、中身読んじゃったの。だけど、コレは私のものじゃないから舞希ちゃんに……」
「あ、うん……」
「じゃあ、仕事に戻るね」と、爽やかな柔軟剤の香りと笑顔を残して病室を後にした。