オレンジ色の奇跡


『甘えるで思い出したんだけど、昔……、僕達が中1くらいだから舞希ちゃんが小3くらいの時だった頃かな?

あの時、僕に甘えてた(っていうよりかたぶん眠かったのかな?)舞希ちゃんは、本を読んでた僕の脚の間に座っててね。

その時、朔真が自分の部屋から舞希ちゃんを呼んだんだけど、うとうとしてて気付かなかったんだ』

 う……。覚えてない。

 でも、カズくんにベッタリだったのは覚えてる。

 カズくんは、朔兄晴兄と比べてお家によくいたんだよね。

 だから余計引っ付いてたのかも。

『返事も何もしないから、朔真が僕達のところに来て「舞希!トランプやろうよ」なんて、ニコニコしながら言ったんだけどね?

舞希ちゃんは、僕に抱きついて「カズくんと遊んでるからダーメ」って。

可愛かったよー。
あの時は、ホント可愛かったな』

 “あの時は”だなんて。

 まぁ、今でも可愛いとは口が裂けても言えないけどね。


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