オレンジ色の奇跡
「なに逃がしてんだよ」
「じゃあ、こいつでよくね? 神崎の女の友達だろ?」
「まあ、いいか。 こっちの方が胸がでけーしな」
「さぁて、かわいがってやるか。」
気持ち悪っ。 なによ。よってたかって袋叩きにする気? この間よりか人数は多いけど、まあなんとかなりそう。
素早くブレザーを脱ぎ捨てた。セーター姿になったあたしはゆっくりと首を回す。
「はあ……」
これからこいつらの相手をしなくちゃならないって思っただけでため息が出る。それが癇(かん)に触ったらしく、
「……てめぇっ!!むかつくんだよ!」
次々と男たちがかかってきた。
右や左から次々と拳が飛んでくる。 なんとかそれを避けながら、みぞおちに入れたり回し蹴りを咬ます。 あたしの後ろに回るヤツらには足蹴……するんだけど。
やばい。日本に帰ってこれることに舞い上がってて、全然稽古なんてしなかったから……。動きが鈍ってる。
「んぐっ!!!!」
一瞬の隙を見破った一人の拳がみぞおちに一発入ってしまった。
よろけたあたしを後ろから羽交い締めにした男は、ポケットを弄(まさぐ)りあたしの頬に硬くひんやりしたものを当てた。
「さぁ、楽しみはこれからだ」