オレンジ色の奇跡


「もともとは、あたしが原因でしょ?それに、しつこく電話もしてた。なんか、もう、嫌われる要素なんてたくさんあったんだよ、きっと」

「でもっ!!」

「あたし、ね。さっきはあんなに泣いたけど、妙に納得してる部分があるの。
ほら、もしかしたら、お兄ちゃん達が重いっていう可能性も捨てきれないし」

「何で、納得ができるの?あたしが耕太にそんな風に言われたら絶対納得なんてできないっ!!……好き、じゃなかったの?」

「好きに決まってる。今だって、突き放されたって岩佐先輩を思ってる」

「じゃあ!!何で……?」

「もし、別れる理由が他にあったら」

「………え?」

 電話越しの岩佐先輩の声が震えていた気がした…ううん、震えてた。

 あたしの気のせいかもしれないし、もしかしたら『岩佐先輩だって別れたいなんて本気で思ってるわけない』とか、心の片隅で、頭の片隅で思ってるのかも。

 ただ単に、都合良く考えてるだけ。

 でも、そうであってほしいっていう気持ちの方が大きくて、別れた後も気持ちが膨らんだままなことに気付いたの。

「あたし、岩佐先輩が好き」

「舞希……」

「両思いじゃなくなっただけ。片思いに戻っただけなんだよ。ね、そうでしょ?」

「辛いと思うよ?」

「そんなの分かってる。分かってるけど、好きなんだもん、あたしには岩佐先輩しか考えられないなんて思ってるだよ?……バカみたい」

 ベッドから腰を上げて窓際へ行き窓を開けると、新鮮な風が頬を撫でていく。


< 396 / 438 >

この作品をシェア

pagetop