オレンジ色の奇跡
「もともとは、あたしが原因でしょ?それに、しつこく電話もしてた。なんか、もう、嫌われる要素なんてたくさんあったんだよ、きっと」
「でもっ!!」
「あたし、ね。さっきはあんなに泣いたけど、妙に納得してる部分があるの。
ほら、もしかしたら、お兄ちゃん達が重いっていう可能性も捨てきれないし」
「何で、納得ができるの?あたしが耕太にそんな風に言われたら絶対納得なんてできないっ!!……好き、じゃなかったの?」
「好きに決まってる。今だって、突き放されたって岩佐先輩を思ってる」
「じゃあ!!何で……?」
「もし、別れる理由が他にあったら」
「………え?」
電話越しの岩佐先輩の声が震えていた気がした…ううん、震えてた。
あたしの気のせいかもしれないし、もしかしたら『岩佐先輩だって別れたいなんて本気で思ってるわけない』とか、心の片隅で、頭の片隅で思ってるのかも。
ただ単に、都合良く考えてるだけ。
でも、そうであってほしいっていう気持ちの方が大きくて、別れた後も気持ちが膨らんだままなことに気付いたの。
「あたし、岩佐先輩が好き」
「舞希……」
「両思いじゃなくなっただけ。片思いに戻っただけなんだよ。ね、そうでしょ?」
「辛いと思うよ?」
「そんなの分かってる。分かってるけど、好きなんだもん、あたしには岩佐先輩しか考えられないなんて思ってるだよ?……バカみたい」
ベッドから腰を上げて窓際へ行き窓を開けると、新鮮な風が頬を撫でていく。