オレンジ色の奇跡


 ぽん、と頭に乗せられた手を辿ると、穏やかに笑う梨海の姿。

 ぐしゃぐしゃっと手荒くあたしの頭を撫で回し、いきなりぎゅっと抱きしめられた。

「もうっ。そんなに好きなら応援しちゃうんだからっ!頑張ってねっ」

「うん!ありがとう……」

「泣くな、泣くな」

「……う、ん」

 梨海はあの大きな目を細めて優しく笑い、その姿にあたしも笑い返し、抱き合った。

 どのくらい抱き合ったかは分からないが、不意になぜ梨海があの時病院にいたのか気になり、聞けば「今日来るって言ってたでしょ?忘れたのーっ?!」と、怒られてしまった。

 きゃーっなんて、久しぶりに騒いだため看護師さんに怒られ最終的に主治医の先生にも………。

 でも、怒られるっていいかも。

 別に、そんな趣味はないけど心配されてるんだ、気に掛けてもらえてるんだって思える気がして。

 実際に、こうやって梨海はあたしのことを怒鳴ったり、応援してくれたりしてる。

 あたしも梨海に対して優衣に対してもやるし、何でかなって考えた時にやっぱり“好き”だからで。


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