オレンジ色の奇跡
「あー、楽しかった」と、にこにこしている優衣の分のジュースを買い、ずいぶんと待たせてしまった梨海の元へ優衣と一緒に急いで向かう。
怒られるのを覚悟に病室のドアを開けると、やっぱりって思うほど目を吊り上げている梨海の姿。
黙ったまま近づく梨海を見て、怒られるなぁ、なんて頭の隅で考えているとぎゅっとキツく抱きしめられた。
「もうっ!遅いわよっ!!……心配するじゃないのよ」
「……ごめん、梨海」
「まぁ、いいわ。そのぬるーいジュースもらって帰ってあげる」
「えっ?だって、まだ優衣来たばっかりじゃん」
「私はいいの、舞希ちゃん」
何がいいんですか?優衣さーんっ!!
梨海はあたしの手からぬるくなったジュースを二つ取り上げ、ポンと頭を撫でる。
「……あのバカ男、殴るんでしょ?強い女になってみせなさい。だから、振られて泣くのは今日だけよ?」
「強くなってみせるよ。殴るためだけじゃない、内面も」
にこりと笑う梨海は「それじゃ」と、くるりと病室を去っていった。