オレンジ色の奇跡
「おい!祥也いたか?」
校内を走り回り、途中祥也と落ち合った。
「……ちくしょうっ! なんでだよ……なんで優衣がっ!」
顔を歪ませる祥也はおもむろに壁を殴る。焦る姿も怒る姿も滅多に見せない祥也が一人の女のために曝け出してる。
「……っ優衣!!!!」
叫ぶような声が聞こえて振り返れば、七瀬が駆け足で足元がおぼつかない椎葉を抱き止めた。
「優衣! 優衣! 大丈夫っ?!」
「……り、みちゃっ……舞希ちゃんがっ。……早く舞希ちゃんのところにっ」
……やっぱり。相川っ!
「優衣! 痛いところは?! ごめん、俺のせいで……ごめ――」
「私の代わりに舞希ちゃんが……っ。せんぱっ……はや、く……舞希ちゃん、を……」
「相川はどこだ!」
「この廊下の奥の教室に……」
相川の居場所を言った後、椎葉はすっと気を失ってしまった。
「祥也、お前は七瀬と一緒に保健室に行け。 ……相川は俺に任せろ」
「……分かった」
ボキッと首を鳴らした俺は廊下奥の教室へと走りだした。