オレンジ色の奇跡


「相川の妹、俺らさ。お前の兄貴も岩佐啓輔も好きじゃねぇんだよ。っつか、逆に恨んでるわけ」

「一緒に来てくんねぇかな、隣の二人と一緒に」

 隣の二人?
 ってことは、七瀬と椎葉がいるのか?

「嫌、っていうの分かってますよね?聞く必要ないと思いますけど?

それに、間違ってることがひとつ。
あたし、岩佐先輩の女じゃありません」

「ま、相川の妹だっていうことに変わりはねぇんだからとっととついてこいよ」

「嫌って言ってるんですけど。それに、あたしの家族のことで友達を傷つけたくない!」

 『岩佐先輩の女じゃありません』か…。

 分かってるはずなのに、こう、ピストルで打ち抜かれたみたいに、痛い。

「は?友達、ねぇ。
じゃあ、さ。自分の兄貴の所為で友達が泣くトコロでも目に焼き付けとけば?」

「ふざけないで。あたしは、二人を泣かせないんだから。

………梨海、優衣と一緒に後ろに下がってて。優衣、大丈夫だから。ね、梨海」

「そうね。分かった。
舞希を怒らせたこと、後悔したほうがいいんじゃないっ?」

 ずいぶんと語尾が明るい七瀬を不思議に思いながらも、祥也にメールを打つ。

 今ここで舞希を助けたら、今日までの頑張りが水の泡だから、な。


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