オレンジ色の奇跡
「俺らのことナメてんだろ」
「舐めても不味そうだけど?」
…………舞希。
煽って平気なのかよ?おい。
祥也って喧嘩出来たよな?
もし、間に合ったとしてもヤベェ気がするのは俺だけじゃねぇよな?!
ひやひやしながら、会話を聞いてれば、ギュッと上履きと廊下が擦れる音が響いた。
驚いてほんの少し顔を覗かせて見てみると、男のひとりが舞希に飛び掛かる。
それに素早く反応した舞希は、飛んでくる拳から右肩を下げながら避け、そのまま左足で蹴り飛ばした。
蹴り飛ばした後、綺麗に、そして素早く体を回転させ、続いてかかって来た男に、右足で回し蹴り。
両脇に倒れた男二人の先に、もうひとり。
うおぉぉぉっと、奇声を上げ舞希に突進する。
舞希は、きゅっと口を結び、突進してくる男を待ち構え、その男が殴るために後ろに引き、前に出した腕をタイミングよく掴んだ。
掴んだ瞬間、すっと俺の視界から舞希が消えた。
……と、思ったら。
ビョンと、男が宙に浮いたと同時に舞希の背中が見え、投げ飛ばした、ということが分かった。
俺はバレないうちに頭を引っ込めて、その場に座る。