オレンジ色の奇跡

 教室の前までやってきてドアに手を掛け、力を入れても開かない。ちくしょう……鍵掛かってんのかよ。しょうがねえな……。

 軽く手足を動かしてから助走をつけて思い切りドアに体当たり。なんとか一発でバァアンッと音と共にドア破壊。

「相川っ!!」

 教室の奥にいる相川は少し殴られてたようで、息が上がり制服が汚れている。それに――

「……岩佐先輩?」

 ――ナイフ持参かよ

 相川が呟いたことによって、周りの男が一斉に俺を見た。まあ、こんなナリしてればちょっとは噂が立つもんだしな。

 相川は自分を羽交い締めしている男の腕の力が緩んだのを感じたのか、男の足をおもいっきり踏み勢いよくエルボーを食らわせた。

「っんが!!」

 その男の異変に気付き、相川に向かって襲い掛かかるが、するりとそれを避ける。前のめりになった男のみぞおちに膝蹴り。

 へー。なかなかやるな、相川舞希。“相川”の血が流れてるだけあるな。

 ま、5人だし……っていうか、もう一人のびてるからな。楽勝、楽勝。

 俺の近くに立っていた男二人はへっぴり腰で近づいてくる。情けねー男二人は順番に瞬殺。んな、これくれえでのびるんだったらさっさと逃げろよ。

 ナイフを持った方の男は奇声上げながら走ってくる。それを軽く避けてカウンター。

 どさり、と倒れる音に続いて同じ音が聞こえた。

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