オレンジ色の奇跡


「岩佐先輩って、ちょっと怖そうだけど、カッコよくない?」

「超カッコいいっ!彼女とか出来たのかな?」

「相川さんと話してたときとか、いつにもなく雰囲気が柔らかくてカッコ良かったよねぇ」

「あたし、タイプかも〜」

 嫌でも入ってくる黄色い声。

 ……もう、無理、かな?

 岩佐先輩って、神崎先輩とまではいかないけど、普通の人よりカッコいいと思う。

 喧嘩も強くて、顔も良くて、優しい。

 そんな岩佐先輩をほっとく人がいる?

 ………いない、はずがない。

 諦める、ってことも、肝心、よね?

「舞希」

「……梨海?」

「いいんだ。それで」

「え?何が?」

「他の女に取られても」

 良い、わけない。

 でも、そんなこと。
 あたしが言う権利なんて、資格なんて、ない。

 それに、岩佐先輩にも迷惑だし。

 好き、好き、好き。

 でも、その思いはあたしにしかない。


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