オレンジ色の奇跡


 授業なんてろくに聞けるわけもなく、ずっとずっと梨海や優衣、そして岩佐先輩の顔がぐるぐる回る。

 あたしは、どうすればいいの?

 ずっと、このまま。
 好きでいていいのかな?

 でも、ずっと、このまま好きでいるのは、どうしても辛いから、辛すぎるから。

 せめて、岩佐先輩が卒業するまでは。

 ………好きでいさせて下さい。

 ぎゅっと拳をつくり、泣きそうになるのを耐える。

 いくら授業に集中してなかったとしても、授業中に考えるんじゃなかった。

「タツキ先生〜。舞希の具合が悪そうだから、保健室に連れて行くねぇ」

「ん?舞希さん、大丈夫?」

「え、あ……。すみません」

「じゃあ、ついでに優衣も連れてくからぁ」

 ………ついでに、って。

 ダメだろうな、と思って長谷川先生と梨海を交互に見れば、梨海の威圧感に負けたのか、細くため息をついた後「いいよ」と、口を開き再びチョークで書く音が響き始めた。

「ありがとうございまーす」

 梨海の軽い声を残し、半ば強制的にあたしと優衣を保健室に連れ込んだ。


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