オレンジ色の奇跡


「……何なんですか?何がしたいんですか?」

「舞希……。俺が悪いんだ」

「何が悪いんで……っ?!」

 俯き加減だった頭を上げた時、声が出なかった。

 岩佐先輩の顔は、治りかけの傷だらけ。

 すぐに、15人とまとめて喧嘩したからだ、とは分かったものの何て言えばいいのか分からない。

「なぁ、舞希。俺にもう一回、チャンスをくれねぇか?」

「チャンス……?」

「始めっから俺と付き合ってくれねぇかな?」

 なん、で……?

 夢、だよね?
 だったら早く覚めてよ……っ。

「……そういうこと言わないでっ」

「え?」

「せっかく、諦められるって思ったのに!忘れようって思えたのにっ。
どうして、そうあたしの気持ちを揺さ振るんですか?!」

 ……悔しいんだもん。

 ……何もかもが。

「一方的に別れるって言われて、理由も分かんなくて、知りたくて。でも、聞けなくて…」

「理由、言えなかったんだ。どうしても」

 岩佐先輩の気持ちはホント?

 でも、あたし分かんないよ……。

「……先輩、卒業おめでとうございます」

 笑顔で言いいたいけど、今はそれどころじゃない。


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