オレンジ色の奇跡
「あたし、先輩見て叫んじゃって謝りたくて、何回も連絡して。でも、繋がらなくて。
やっと、繋がったと思ったら、別れようって……」
「……ごめん」
「ごめん、じゃないっ!!
今だって、やっと諦める決意固まって、心の準備までしてたのに、そうやっていきなり現れてあたしのこと好きって……。
どうして?あたしを試してるの?!」
「試してねぇよっ!!俺は、ただ舞希のことが好きなんだよ!!」
離れたはずなのに、再び岩佐先輩の腕のなかに引き寄せられた。
今度は離さない、とでも言うかのように、強く、キツく、あたしを抱きしめる。
「俺だって、別れたくなかった。でも、別れないと舞希が……って思うだけで怖くてたまらなかったんだ。
1日でも早く舞希に会いたくて、抱きしめたくて。だから、15人まとめて潰した」
「……え?」
「俺を狙ってるヤツ潰せば、それで終わりだろ?だから、まとめて…」
「そうじゃなくて、どうやって?ただ、潰しただけじゃまた恨まれるんじゃ……」
「あぁ。正確に言えば殴り倒したのは、13人。あとの二人はサツ行き」
……もっと分からないです。
黙り込んだのを見て、理解していないと解ったのか、あたしの頭を撫でながら身体に巻き付けていた腕の力を緩めた。