オレンジ色の奇跡
◇◇◇
保健室に着くと優衣はベッドで寝ていて、梨海は寝ている優衣の横で放心状態。 神崎先輩は、優衣の頭を撫で続けていた。
「……梨海」
ピクッと梨海の肩が動いて、あたしを見る。
「……ま、きぃ」
涙声であたしの名前を呼ぶ梨海のもとに行き、ぎゅうっと抱きしめた。
「舞希ちゃんありがとう」
あたしは神崎先輩に向かって小さく首を横に振る。何もされなかった。だけど、優衣を守れなかった。傷つけてしまった。
「優衣は?」
「ただの気絶だって……。少し休めば良くなるみたい」
そっか、良かった……。
「………ん」
優衣の目がうっすらと開いたのに気付いて「……優衣?」と神崎先輩が優しい声で呼ぶ。
「……か、ざき、せぱ……」
「ごめんね?俺のせいで怖い思いさせちゃったね」
優衣はゆっくりと首を横に振ってから、あたしと目をかち合わせた。
「舞希ちゃん助けてくれてありがと……舞希ちゃん大丈夫だった?」
「あたしは大丈夫。自分の心配しなよ」
「でも、ほっぺ切れてるよ?」
「……このくらいすぐ治るって」
忘れてた。ほっぺ……少し切れてるんだった。 う……気持ち悪い。羽交い締めにされた感覚と不気味に笑ってたの思い出しちゃった……。