オレンジ色の奇跡

 屋上に着いてからずっと岩佐先輩は寝そべったまま。何か言うわけでもなく、ただ、仰向けになって腕を頭の後ろで組んで、じっと目を瞑ってるだけ。

「ふあぁ。 お前も寝れば?」

 やっと発した言葉。この人、何考えてるのかな?

「屋上……好きなんですか?」

 一応真新しい制服だし、と思って寝転ばずに岩佐先輩の隣に座った。

「あぁ。保健室で寝てて追い出されたらココに来てる」

「そうなんですか……」

 少しずつ冷たく、乾いた風が心地よいくらいに吹き抜ける。

 お互い口を開こうとしない。

 別にこういう時間の使い方も嫌いじゃない。 むしろ、好きなんだけど……。

 今のあたしにはこの状況は辛い。

 何か話してるか、何も考えられないくらいの大きな音楽とか聞いてないと、さっきのことを思い出しちゃうから。 ……泣きたくなるから

「あの――」

「黙れ」

 岩佐先輩はピシャッとあたしの問いかけを遮り、再び沈黙が訪れた。

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