オレンジ色の奇跡
分かってたことだけど、実際に(しかも兄貴に)言われると、心にズシッとくるものがある。
「……分かってますよ、そんなこと」
「そっか、そっか! ならいいんだけどな」
それで、と気付いてはいた妙な空気に触れた。
「何かあったんですか?」
思った通り。急に朔真さんから笑顔が消え、難しい顔つきに変わった。
「晴樹が喧嘩に巻き込まれた」
「えっ?! 晴樹さんが?」
喧嘩はやめたんじゃ……いや、違う。何か裏が――
「正確には晴樹の友達……って言っても俺らみたいなやつじゃなくてさ、大学の友達らしいんだけど。 そいつが運悪く、な。晴樹がそれをちょうど見かけて飛び込んで行ったんだって」
――あった
「とりあえず、相手が悪い。……啓輔も知ってるよ。俺らの天敵」
「なっ!!」
「……ちくしょう。なんでまた、この時期なんだよ。せっかく舞希が戻ってこれたっていうのに……5年前より危ない」
せっかく戻ってこれた?5年前より危ない……? 何があったんだ?
「朔真さん……どういうことですか?」
5年前、と朔真さんは静かに話し始めた。