オレンジ色の奇跡

「俺と晴樹と仲間が一番喧嘩してたとき、舞希は小学6年だった。 俺たちはさ、変な異名の所為で毎日のように発破をかけられた」

 その異名こそ“不良のヒーロー”異名の理由、それは、カツアゲやリンチをしてる不良に相川兄弟を筆頭とした相川派と呼ばれる不良が飛び込んで、被害にあった人を助けたから。

 それも一度だけじゃねえ。 どこからか情報を嗅ぎつけた相川派は、突然現れて用が済んだらすぐに姿を消したっつうのも理由らしい。

「発破をかけらても“その時”しか喧嘩はしない。それが俺らのモットーだった。 ……だけど、ある日の喧嘩がちょうど家に帰る途中の舞希と出くわしたんだ」

 なっ……。

「俺たちに殴られた奴が、よろけて舞希の目の前に、な。 普通、金髪で眉毛がなくて顔から血が出てたら怖いと思うだろ?でも、舞希は昔から変わってたから、そいつに『だいじょうぶ?』って聞いたんだよ」

 は?! なんつう小学生だよっ!!

「でも、そいつは『見てんじゃねえよ』って言いながら舞希を蹴飛ばした。舞希の後ろは階段で、下まで転げ落ちた。一時意識不明の重体、奇跡的に意識も戻り体も順調に治りかけてたんだけどな……その時の記憶がない」

「えっ……?」

< 55 / 438 >

この作品をシェア

pagetop