オレンジ色の奇跡
熱めのシャワーで頭と体を洗いちゃぽんと湯ぶねに浸かる。
「あ……ご飯」
今日はいつもより上手にできたけど、味、気になるなあ。 もし、岩佐先輩の口に合わなかったらどうしよう。でも、ちゃんとお母さんにもらったレシピ通りだし、大丈夫だよね。
ほぼ毎日、お兄ちゃんたちにご飯作ってるけど、こんなに味気にしたのって初めて作った時以来かも。
「なんか不思議」
あはは、と小さく笑うあたしは気付いた。
初めてお兄ちゃん以外の男の人にご飯作ったから、なんだか緊張してるんだ。
アメリカ(あっち)では割と手伝いとかの方が多かったし、一人で全部作るようになったのはこっちに来てからが初めてだったもんな。
お風呂から上がって、ふわふわのタオルで身体についた雫を拭き取り着替えを済ましたころ、
「朔真さんっ!!!!」
とかすかにリビングから朔兄を呼ぶ岩佐先輩の声が聞こえた、気がした。
「ん……?」
気のせい、じゃないよね。何かあったのかな? 少し岩佐先輩の声が焦ってた様な気がしたけど。
タッタッタッタッと、リビングに向かいガチャっとドアを開けた。