オレンジ色の奇跡
◇◇◇
風呂を借りたものの、相川と朔真さんが心配になった俺は、いつもより早く風呂を上がっていた。
相川が出してくれたらしい真っ白でふわふわしたタオルで、体を拭いていた俺に届いたのは朔真さんの怒鳴り声だった。
何かあったのか心配になり、急いで風呂からあがり着替えリビングに向かう。
リビングに入るとそこには相川の姿はなく、朔真さんが髪の毛をグシャグシャにして天を仰いでいた。
「…………なんかあったんですか?」
ピリピリとした雰囲気を破ったのは俺。
「………あたっちゃったよ」
「あたった?」
いまいち意味が分からなかった。朔真さんがあたった――あたったって……まさか。
「舞希に当たったんだよ。八つ当たりってやつ?」
「何でまた相川に……」
「未和とケンカして少しイライラしてたのもあるんだけど、だからって舞希に八つ当たりしたのはやばかったな」
相川、今何を考えてんのかな。今日の流れからして……泣いてるかもな。
泣いてなくてもいい。ただ、今、相川の隣にいてえなって素直に思った自分に驚いた。
「俺、相川の部屋に行ってきます」
俺は気持ち足早に相川の部屋に向かった。