オレンジ色の奇跡
息が上がるほど無我夢中で走った。 中学生のときの運動会以来だよ!こんなに、必死になって走るのは!
「舞希っ?!」
聞き覚えのある声に足を止め振り返えれば、晴兄が驚いた様子であたしを呼んでいた。
「晴兄ぃ!!」
「あそこの公園にいたのか? 大丈夫かっ?!」
「あっ……うん。なんか知らない金髪不良男が助けてくれたみたいっ」
「まぁ、無事ならいいか……。ほら、帰るぞ?」
あたしの三歩ほど前を歩く晴兄の背中を追うように、脚を進める。
……あの金髪不良男は大丈夫なのかな?
喧嘩は強そうに見えたけど、3対1だし。見た目だけじゃ、金髪不良男が強いかどうか分かんないし。
それに、お礼、言えなかったな。
だいたい、なんであの金髪不良男はあたしを助けてくれたんだろう。
――不思議だ
ボスッ、と音が聞こえそうなほど晴兄の背中におもいっきりぶつかった。
「……家着いたけど?」
「えっ?!」
あたしが、背中にぶつかったことを対して気にせず、マンションのエントランスホールに入る晴兄。