オレンジ色の奇跡

「平気か?」

 俺の言葉に驚いた相川が「えっ」と小さく呟いた。

「朔真さんに聞いた。反省してたみてえだよ」

「朔兄は何も悪くない。あたしが悪かったの」

 すっと目を反らした相川はそう言った後、きゅっと口を結んだ。

「八つ当たりされたのにか?」

「………」

「今、何考えてる? 全部言えよ」

 「聞いてやるから」と付け加えた俺の服の裾をぎゅうっと掴んだ相川は、眉をハの字にしながら口を開いた。

「……あたしには、関係ないって分かってる。 でも、二人には幸せになってほしいって思ってるから、早く仲直りしてほしくて。 朔兄と未和さんのこと大好きだから……」

「それだけじゃねえんだろ?」

「……朔兄、晴兄とケンカしたって嘘つくから。どうして、あたしに言わないの? 言わないのは、あたしのためなの?」

 俺に話す、というよりは自分自身に問い掛けるように呟く相川は、一度ゆっくり深呼吸をした。

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