オレンジ色の奇跡
うーん。とりあえず、これからどうするかを考えなくちゃ。
中から酔った朔兄を起こすのは無理でしょ。 あとは、晴兄に電話して来てもらうかだけど。時間的に晴兄もお酒飲んでそうだし。っていうか、まず来てくれなさそう。
……ってことは、だ。
「何してんだ?」
「えっ? 布団出してるんですけど」
ベッドの下の引き出しに手を掛けたまま顔を上げた。 だってそれしかないじゃん。
「ふ、ふとんっ?!」
「消去法で朔兄が起きるまでここで待つしかないんです。どうせ、朝まで起きないだろうし……。だから、岩佐先輩ここで寝るしかないですよ?」
「……まじかよ」
「すみません。一緒の部屋で寝ることになっちゃって……」
ホント、申し訳ないなあ。あたしの所為じゃないけど、また迷惑かけちゃって……。
「お前は悪くねえんだから。……そんな顔すんじゃねえよ」
あたしの頭をぽんぽんとする岩佐先輩は目を細めて優しく笑った。
「岩佐先輩……。 あ。ベッド使って下さい」
「いや、お前がベッドで寝ろ。俺が下で寝る」
「えっ!?でも――」
「いいから」
分かったら返事、と岩佐先輩はさっきよりも優しく微笑んだ。