オレンジ色の奇跡

 岩佐先輩ってホント似てる。お兄ちゃん達の友達に。

 お兄ちゃん達ももちろん友達も岩佐先輩みたな金髪とか、髪の毛を色んな色に染めて、かなりの不良だったみたいだけど、今の岩佐先輩みたいに優しかった。

 みんな、ホントにあたしを自分の妹みたいに可愛がってくれたなあ。

「っあ。そうだ、岩佐先輩っ」

「ん?」

 ちょこちょこっと動いて、岩佐先輩の目の前に回った。お礼くらいしなきゃ、なんだか気持ち悪い。

「あの。今日、色々迷惑かけちゃったんで、何かお礼し――」

「お前まだ言っ――」

「最後まで聞いて下さいっ!!」

 優しいのは分かるけど、少しは見返りを求めたっていいと思うんですけど。

「お礼をしたいので何か奢らせてください」

「いやだ」

 すぱっと。ホントに即答。

「でもっ! あんなに迷わ――お世話してもらったのに、何もお返しが出来ないなんて、歯がゆいんですっ!」

 食い下がるあたしに岩佐先輩は少し考えてから、じゃあさ、と口を開いた。

「明日、何か甘いもん作ってくれねえか?」

 ……え? あ、甘いもの?

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