オレンジ色の奇跡

「あ、甘いものって………ケーキとかそういうモノですよね?」

「作れねえなら別にいいけど」

「そ、そうじゃなくて……えっと、その……」

 岩佐先輩がいたずらっ子のように笑った。

「意外?」

 あたしは何度も首を縦に振る。

「男の人で甘いもの好きって少ないですよね? 朔兄と晴兄も好きじゃないし……」

「祥也も好きじゃねえな」

「えっ! うそ!」

 あんなにチョコみたいな甘い笑顔を優衣に向けてるくせにっ?!

「あいつ毎年バレンタインで大量にチョコをもらうけど、祥也は嫌いだから、全部俺が食ってる」

 やっぱり、人は見かけによらないっていうか。 少し見た目は派手で怖そうな感じでも、こんなに可愛い一面があるんだなあって思ったら、なんだか顔が緩んじゃう。

「何笑ってんだよ。そんなに、変か?」

「変じゃないですって。 それより、何にします?ちっちゃめのケーキにしますか?」

「まじっ!作ってくれんの? ……っていうか、作れるよな?」

「作れますよっ!」

 すごく嬉しそうな岩佐先輩を見ると、なんだかあたしまで嬉しくなる、気がした。

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