オレンジ色の奇跡

「っ……」

 ガバッと起き上がって辺りを見渡すけど、いつもと変わらないあたしの部屋。

 またこの夢……。

 何なんだろう。朔兄の驚いた顔は、鮮明に覚えてる。 でも、その後が分かんない。 考えれば考えるほど頭が痛くなってくる。

 あたしは、ベッドの上で膝を抱えてその上に頭をのせた。

 心臓が早い。それにまだ息があがってる。どうしよう……っていうか、どうしてこんなに怖くなるの?

 朔兄のあんな顔を見たから?それとも、出口のない暗闇の中を走り回ったから?

「……相川?」

 ベッドの隣に敷いた布団には誰もいない。

 あれ?岩佐先輩……隣で寝てたんじゃなかったっけ? どこに……あ、いた。

 ベッドから降りたあたしは、カーテンの隙間から覗く月明かりに照らされている岩佐先輩のもとへ向かう。

 思いの外、足下がふらつく。それでも足に力を入れて歩いて、岩佐先輩の目の前で力が抜けた。ぺたん、とその場に座り込んだあたしは――

「相川? どうし――」

 ――岩佐先輩に抱きついた

「……なっ」

「ごめんなさっ……でも、このまま……」

 岩佐先輩は何も言わずにあたしの頭をポンポンと撫でてくれた。

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